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EV普及には原子力発電所の増設が不可欠なのか?


東日本の電力不足によって、日本全国で「節電」が呼びかけられおります。
この現状は、電気を供給するEVにとって、普及に疑問符や懐疑論がささやかれており、
コンバートEV普及にとっても大きな問題です。
このテーマに一石を投じる人物が、日本EVクラブ代表の舘内氏です。
舘内氏の記事によると、実に興味深い見解が掲載されていました。

「内燃機関の自動車が全てEVに切り替わったと想定して、EVの電力消費エネルギーが全体の電力に対してどの位の割合になるか?」の算出を(財)省エネルギーセンターが発行している「エネルギー・経済統計要覧2011版」をもとにシミュレーションしていました。
要約すると下記の通り、
●2009年度の自動車交通が消費したエネルギー消費量を電力と同じ「キロワットアワー(kWh)」に換算したデータと、日本の発電設備能力を比較

【自動車交通が消費したエネルギー量】(2009年度)
自家用乗用車=52,730
タクシー  =1,563
バス    =1,671
トラック  =28,048
合計    =84,012(単位:10の7乗kWh)①

【日本の発電設備能力】(2009年度)
水力    =42,018
火力    =159,222
原子力   =42,796
合計    =244,036(単位:10の7乗kWh)②

■自動車交通全体のエネルギー消費量が発電能力に占める割合

84,012÷244,036×100=34.4%
①÷②×100=34.4%

■自家用乗用車(業務用のタクシーを除く)
52,730÷244,041×100=21.6%
③÷②×100=21.6%

でも、実際の発電量は「111,262×10の7乗kWh」⑥(2009年)と約半分(②÷⑥×100=45.6%)なので、内燃機関の自動車が全部EVに置き換わったとすると、実に60%以上の電力を「クルマ」が消費してしまうことになる。

これは、電力危機の時代にEVなんてとんでもないということになるのだろう。

しかし、EVは内燃機関のエンジン車に比べて、効率が6倍に向上するということだ。
すなわち、すべての自動車がEVに切り替わったとすれば、消費エネルギーの計算は
現状の内燃機関の自動車のデータを6分の1にして考えればよい。

6倍という数値の求め方】
まず日産リーフの燃費ならぬ電費は、150Wh/km である。次に内燃機関自動車=エンジン車の平均燃費は、自工会の乗用車実走行燃費予測値(10年度)よると10.5km/ℓである。そこで10.5km/ℓを電費に換算すると914Wh/kmとなる。こうしてEVの電費と内燃機関の燃費を電費に換算
した値をくらべると914÷150=6.1となり、6倍となる。

日本国内の自動車がすべてEVになったと仮定した、発電能力に占めるエネルギー
消費量の割合は、以下のようになる。

■自動車交通全体
34.4÷6=5.7%

■自家用自動車(業務用のタクシーを除く)
21.6÷6=3.6%

次に通常の消費電力量に対する割合を考えてみる。2009年度の消費電力量は、前
述のように「111,262×10の7乗kWh」である。
2009年度の実際の発電量と比較すると、すべてがEVになったとしても

「84,012÷111,262×100÷6=12.6%」です。
つまり通常の電力消費量で考える
と、消費電力はプラス12.5%ということである。

結論を言うと、すべての自動車がたとえEVに切り替わっても、発電能力的にはま
ったく問題がなく、通常の消費電力量でいえば12.5%増大するだけである。原発を
増設する必要はない。

また、現在のEV普及台数は1万台以下なので、電力事情を悪化させるものではまったくない。

・・・ということだそうです。

しかも、EVは大きな電池を担うこともできるそうだ。
自家用自動車の保有台数を4,060万台(2007年のデータ)で、リーフと同じ24kWhの電池が積まれているとして計算すると、すべての自家用自動車がEVになれば9億7,440万kWhの電力を保有した電池が日本社会に登場します。

電力供給をITネットワークを駆使してコントロールする「スマートグリッド」が実現すれば、EVの電池が保有している電力で、ピーク時の不足分を補うことも可能です。

東京で真夏のピーク時に不足すると予測されていた電力量の850万kWhで、1日5時間の不足分を補う必要があると仮定すると、EVがためている9億7,440万kWhの電力で、23日分の不足する電力を供給できる計算になります。

9億7440万kW ÷850万kW=約115時間(114.63…)
ピークを昼間の5時間とすれば、115÷5=23日にわたって供給できる

さらに、すべての自動車がEVに切り替わると、日本の石油消費量の30%近くが節約できる。
2020年には世界のガソリン供給不足が起こると懸念されていますから、EVが1台でも増えれば、ガソリン自動車も延命できることになります。

【掲載記事】
■EVがガソリン車を延命する?
http://bit.ly/jtYuE2(月刊チャージャー)

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2011年5月8日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:EV

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